当館の調査・研究活動

日本未記録の水生昆虫を発見(ムクゲチビコマツモムシ)

 

石川県ふれあい昆虫館の渡部晃平学芸員、福島県農業総合センター浜地域研究所の三田村敏正博士、東京農業大学の石川忠教授の研究チームが、日本未記録の水生昆虫を発見し、その研究成果が、日本昆虫分類学会が発行する学術誌「Japanese Journal of Systematic Entomology」に掲載されました。

 

研究の成果

四国、南西諸島産の標本調査および現地調査により、国内で初めてAnisops elstoni Brooks, 1951を発見し、ムクゲチビコマツモムシという和名をつけました。ムクゲチビコマツモムシはカメムシ目マツモムシ科コマツモムシ属に属する水生昆虫の一種で、水中の中層で逆さになって遊泳します。日本に分布するコマツモムシ属はこれまで7種が知られていましたが、今回の発見により8種となりました。

あわせて、国内に分布するコマツモムシ属8種を同定するための検索表を作成しました。

 

展望

今回の研究により、過去に愛媛県からチビコマツモムシと同定されていた種が、実はムクゲチビコマツモムシであったことも判明しました。このように、本種はコマツモムシ属の類似種と混同されてきた可能性があります。本種の発見と新たに作成した検索表に基づいた調査が行われることにより、国内のコマツモムシ属の正確な分布状況の解明が期待されます。

 

論文情報

論文タイトル:First record of the back swimmer species Anisops elstoni Brooks (Hemiptera: Notonectidae) in Japan, with a key to the Japanese species

掲載誌:Japanese Journal of Systematic Entomology, 第27巻1号

著者:Kohei Watanabe (渡部晃平)・Toshimasa Mitamura(三田村敏正)・Tadashi Ishikawa(石川 忠)